幸福は香水のようなものである 人にふりかけると自分にも必ずかかる
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「芳兵衛、お前はほんとうに気の毒だ」 私はある時珍しく真顔でいった。 「あなた本当にそう思う?」 「思う」 「それならいいのよ。あなたがそう思ってくれれば、わたしはそれでいいの」 と明けっぱなしの笑顔をした。 「こんな奴をいじめてーあアあ」と私は腹でうなった。 「こんなことをして小説書いたとて、それがいったい何だ」 そう思うと、反射的に 「いや、俺はそうでなければいけないんだ」 と突き上げるものがある。 「暢気眼鏡」などというもの、かけていたのは芳枝でなくて 私自身だったのかも知れない。確かにそう思える。 しかもこいつは一生壊れそうでないのは始末が悪い。 そこまで来て私はうすら笑いを浮べた。 尾崎一雄著『暢気眼鏡』より抜粋
渡辺真史の父は、本を読むときだけ眼鏡をかけていた。 若いときの眼鏡姿が記憶にないから、たぶんそれは老眼鏡であったと思う。 そんな眼鏡をかけた父に、真史少年は近寄りがたい、なにか威厳のようなものを感じた。
そして、その読書に没頭する知的さと荘厳さが入り混じった後ろ姿を、憧れの眼差しをもって見つめていたという。 以来、あいにく視力がよかった真史少年にとって、眼鏡は憧れの存在となる。眼鏡をかけるだけで、印象が変わる。いや、それだけではない。 眼鏡を通じて見える世界観すらも、変わるような気がしたのだ。 いまも眼鏡をかけている人は、知的で徳を積んだ人のように見える、と真史は語る。 かけているときと外したときの、印象のギャップもいい。その存在は、男の帽子とも通じるものがある。 A Socialistの眼鏡に、渡辺真史はそんな想いを込めた。 眼鏡は己を語る。そして、ときにかける人の人生を象徴するものとなる。 その眼鏡はずっと人々の記憶に残ったまま、壊れそうにない。
Masafumi Watanabe’s father only wore glasses when he read; Masafumi has no memory of his young father normally wearing glasses, so they must have been reading glasses. The young Masafumi found it hard to approach his father when he was reading; he seemed so august, dignified. Seeing his father devoted in reading, that intellectual and solemn sight of his father’s back, Masafumi would hold a concentrated gaze of adoration.
Unfortunately for the young Masafumi, his eyesight was good and glasses remained a daydream, an idolized thing for him ever since. Just by wearing a pair of glasses, looks change. No, not just that. Through a pair of glasses, even a Worldview can change. Still now, Masafumi says when he sees someone wearing glasses, he perceives an intelligent and virtuous person. The gap between the impressions we take of people with and without their glasses is also interesting. A similar thing occurs with men’s hats. Masafumi has put this sentiment into A Socialist’s eyewear. Glasses tell a story about oneself; a pleasant fiction we’re invited to create about the life of the wearer, just by the sight of him wearing them. Those glasses persist in the memory of all who saw them; never to break in a lifetime.

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EYEWEAR

A SOCIALIST

    EYEWEARLIGHT BROWN

    知的で落ち着いた雰囲気が魅力な
    ライトブラウンの「べっ甲調」眼鏡
    A composed, intelligent air;
    light brown “tortoise shell” glasses

    EYEWEARBLACK

    表情に都会的なモダンさを加える
    艶やかな「ポリッシュブラック」
    Adding metropolitan and modern,
    glamorous “polished black”

    EYEWEARBROWN

    アカデミックな印象を演出する
    万能型ブラウン「べっ甲調」眼鏡
    Revealing an academic impression,
    versatile brown “tortoise shell”